シャーロッキアンの果てしなき冒険　 by 水野 雅士 ２．ホームズ物語に出てくる主な登場人物の服装 2）女の服装 （2）マント・コート類（cloak, mantle and ulster） 　次に服の上にはおるコート、マント類についてみてみましょう。これは出てくる頻度 が少ないのですが、たとえば以下のようなものがあります。　 　 事　件　名 訳語（原文） ページ 着　用　者 四つのサイン 黒ずんだマントに身を包み （in a dark cloak） 31 メアリ・モースタン＝依頼人 花嫁失踪事件 コートと帽子を持つと（caught up an ulster and bonnet） 372 ハティ・ドラン（依頼人セント・サイモン卿の花嫁） 犯人は二人 マントをあごまでひきあげて （a mantle drawn round her chin） 268 謎の女性（恐喝の被害者の一人） 第二の汚点 地味でしたね･･･足元までの長いコートを着ていました。 （Quiet,sir ─ a long mantle down to her feet.） 487 レイディ・ヒルダ・トリローニ・ホープ(依頼人の一人トリローニ・ホープ大臣の妻) 　 このうち挿絵で確認できるものはとであります。 コートを着たハティ・ドラン 《花嫁失踪事件》 　Ｓ・パジェット画 謎の女性 《犯人は二人》 Ｓ・パジェット画　 謎の女性　 《犯人は二人》 Ｓ・パジェット画 　なお《ボヘミアの醜聞》では、ヒロインのアイリーン・アドラーがアルスター外套を着ているシーンがありますが、これは男装するために着たもので、女性の衣装を論ずるこの場には該当しませんので、上の表には入れていません。また上表以外に、文章としては出てこなかったけれども挿絵として登場するコート姿の女性には、たとえば次のような人がいます。 グラント・マンローと妻のエフィ 《黄色い顔》 　Ｓ・パジェット画　　 ナンシー・バークリ 《曲がった男》 　 Ｓ・パジェット画 エミリア・ルッカ 《赤い輪》　 Ｈ・Ｍ・ブロック画